「AIに詳しい人がいない」会社がAIエージェントを導入する現実的な進め方

Blog2026年10月2日

専門的で読み解きにくい提案を、3つの観察窓を手がかりに自分の言葉で確かめ、AIエージェント導入の判断材料を増やしていく様子を表す抽象イラスト

AIエージェントを導入したいけれど、技術的な話になると社内で誰も判断できない——そう感じている会社は少なくありません。ですが、詳しい人がいないこと自体は、導入を諦める理由にはなりません。危ういのは、詳しくないまま、その提案が妥当かどうかを確かめる手立てを持たずに一人で契約してしまうことです。

「詳しい人がいない」ことより、確かめる手立てがないことのほうが危ない

従業員数十名規模の会社で、情報システム担当を専任で置いているところはむしろ少数派です。技術に詳しい人がいない状態は、珍しいことでも恥ずかしいことでもありません。IPA(情報処理推進機構)が2024年に公表した調査でも、DXを推進する人材の不足は事業会社側で特に深刻だと報告されており、必要な人材の定義や評価基準を自社で持てていない会社ほど、不足感を強く感じている傾向があるとされています。

問題が起きやすいのは、詳しい人がいない会社そのものではなく、詳しい人がいないままベンダーの説明をそのまま受け止めてしまう会社です。提案書の技術用語をそのまま信じるしかない状態だと、その提案が自社の規模や予算に見合っているのか、それとも過剰な提案なのかを見分けられません。金額とスケジュールだけで決めてしまうと、後になって「思っていたものと違った」と気づいても引き返しにくくなります。

「全部お任せください」という提案書を、そのまま信じていいのか

これは仮の例ですが、ある会社に届いた提案書には、こう書かれていました。「AIエージェントを導入すれば、御社の業務は全部自動化できます」。具体的にどの業務のどの部分を指しているのかは書かれておらず、金額と導入期間だけが大きく強調されていました。

似た構図の提案は珍しくないようです。中小企業のAI導入を扱う複数の記事でも、目的が「AIエージェントを入れること」自体にすり替わり、どの業務のどこを解決したいのかが最後まで曖昧なまま契約に進んでしまうケースが指摘されています。範囲を広げすぎた提案は、費用が想定より膨らんだり、権限を渡しすぎてデータの扱いに不安が残ったりと、あとから困りごとが増える傾向があります。

「AIエージェント」という呼び方自体、今かなり便利に使われています。実際には簡単なノーコードの自動化で足りる業務にまで、この呼び方が使われることもあります。名称の新しさに気を取られず、実際に何をどこまでやってくれるのかを、具体的な業務名で言い直してもらうことが、最初の見極めになります。

専門知識がなくても、意味のある質問はあります

技術の中身がわからなくても、提案の質を見分ける方法はあります。たとえば「なぜこの技術を選んだのですか」と聞いてみてください。生成AIの汎用サービスで足りる業務なのか、それとも自律的な判断が必要な業務なのかによって、選ぶべき技術は変わります。この問いに、業務内容に沿った理由を具体的に説明できないベンダーは、テンプレートの提案をそのまま当てはめている可能性があります。

もう一つ有効なのが、「これを導入しなかったら、どのくらい困りますか」という聞き方です。困りごとが具体的に返ってこない、あるいは「効率化できます」といった曖昧な言葉に終始する場合、対象業務そのものが十分に定まっていないサインです。

契約前には、「途中でこのベンダーと合わなくなった場合、データや仕組みはどうなるか」も確認しておきたいところです。特定のベンダーの仕組みに強く依存する形になっていると、後から別の方法に切り替えたくなっても身動きが取りにくくなります。この3つの問いは、技術的な知識がなくても、意味を理解したうえで聞くことができます。

自社が支援できること

Atinasが手がけている支援の一つに、AIエージェント構築・技術選定があります。流行っているからと何でもAI化するのではなく、本当に必要な技術だけを選んで組み合わせることを大切にしています。ここでの役割は、代わりに決めることではありません。今の業務のどこに技術を当てはめるべきかを一緒に整理し、複数の選択肢を並べたうえで、それぞれの向き・不向きを一緒に確認していく立ち位置です。

ヒアリングの結果、既存の生成AIサービスの組み合わせで十分だと判断すれば、その構成をそのままお伝えすることもあります。無理にオーダーメイド開発やAIエージェントの構築へ話を誘導することはしません。サービス内容では、技術選定から実装、導入後の自走支援までの流れを確認いただけます。作って終わりにしないという考え方は技術選定の段階にも共通していて、選んだ技術を社内で使い続けられるかどうかまで見据えて一緒に検討します。提案書の内容が自社に合っているか迷っている段階でも、その一枚を持ち込むところから始めていただけます。

契約したあとでも、見直すタイミングは何度もあります

提案の見極めは、契約前だけの作業ではありません。使い始めて数か月経ち、当初の説明と実際の動き方にズレを感じることもあります。そうした場合は、契約時に受けた説明を、もう一度言葉にして説明し直してもらうことをおすすめします。料金の内訳、想定外に増えた費用の理由、対応してくれる担当者が固定されているかどうかは、使い始めてからのほうがかえって確認しやすい項目です。

説明を求めたときに、以前と同じ言葉を繰り返すだけで具体的な中身が返ってこないようであれば、他の選択肢を検討する材料になります。導入して終わりにせず、定期的に今の説明が妥当かどうかを確かめる習慣を持つこと自体が、詳しい人がいない会社にとっての実用的な備えになります。

まとめ

AIエージェントの導入は、技術に詳しい人がいなくても進められます。避けたいのは、詳しくないことを理由に提案をそのまま信じて契約を進めてしまうことです。なぜこの技術なのか、導入しなければ何に困るのか、途中で離れる場合はどうなるのか。この3つを聞くだけでも、判断の材料は増えます。それでも一人で見極めるのが不安なときは、この3つの質問を携えて、外部の技術選定支援に相談してみるのも一つの手です。

FAQ

Q. AIエージェントについて何も知らない状態でも、ベンダーに相談していいですか?

A. 問題ありません。むしろ知識がない状態を隠さず伝えたほうが、ベンダー側も説明の仕方を調整しやすくなります。専門用語で押し切ろうとする相手かどうかも、その時点で見分けがつきます。

Q. 相見積もりは何社くらい取ればいいですか?

A. 決まった正解はありませんが、2〜3社の提案を比べると、同じ業務に対する説明の仕方や金額の考え方の違いが見えてきます。1社だけの説明で判断すると、その提案が妥当な水準かどうかを比べる基準を持たないまま決めることになります。

Q. Atinasのような技術選定支援は、契約前の相談だけでも利用できますか?

A. 初回30分の無料相談は、契約を前提にしない相談として利用いただけます。他社から受け取った提案書を持ち込んで、内容を一緒に確認するといった使い方も可能です。

Q. 一度契約したベンダーと合わないと感じたら、途中で乗り換えられますか?

A. 乗り換え自体は可能な場合がほとんどです。ただし進める前に、今使っているデータや設定を次のベンダーにそのまま引き継げるかを確認しておくと、切り替えにかかる時間を読み違えずに済みます。契約書に引き継ぎ方法の記載がなければ、現ベンダーに直接、設定情報や引き継ぎ資料を出してもらえるかを聞いてみてください。

「なんとなく困っている」も、まずはお聞かせください。

30分の無料相談を予約する

← ブログ一覧に戻る